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2016.12.28 (Wed)

「お茶もワインのように楽しめるようにしたい」について思うこと その2

前回は、
「お茶もワインのように楽しめるようにしたい」と思うのであれば
ワインがどのようにして今の地位を築いたか、
特に、行政や流通、マーケティング関係で携わる人にとって
歴史や制度からアプローチすると面白いと思います
というようなことを書きました。

今回は余談・・・というか自分が目指したいものについて書きます

ワインでもフランス・ブルゴーニュ地方は
単一農家(一族経営)で単一品種が主流です。
その為、その年のブドウの出来次第で味がガラリと変わることもあり、
それがヴィンテージの違いとして楽しまれていることも多いです。

単一農家(一族経営)で品種ごとのお茶を作ると言う形態は
当園のような、自園・自製・自販のお茶農家に似ていると思います。
しかし「生産年による味の差」を「楽しみ」として捉えられることは、
お茶の世界にはあまりないように思います。

しかし、ワイン業界で「ヴィンテージの違いを楽しむ」風潮が出来始めたのも、
実は1970年代以降とのことのようで、実は歴史が思ったよりも浅いと思いました。

それまでの(今でも?)主流はボルドーワインにみられように
ブレンドされた「一定の品質のワイン」が「シャトーマルゴー1982年」というように
「会社名(ブランド名)+ヴィンテージ」と言う名前で一定のまとまった量が流通することが多いです。

シャンパーニュやシェリーは異なるヴィンテージをブレンドすることが多いのですが
考え方の根底にあるのはボルドーワインと同じく
「一定の品質」を「大量に」変わることなく、消費国であるイギリスへ流通させることで
信頼を築き、ブランドとしての価値を高めて行った経緯があります。

「安定感」がブランド作りの根底にあるワインが多い中
「ヴィンテージ」「畑」など細分化し不安定な要素が「価値」になる
ブルゴーニュワインは結構珍しい成功例だと、個人的には思います。

因みに、ブルゴーニュの単一農園が作るものは
「◎◎さんのブルゴーニュ△△村の1982年」というように
個人名(もしくは苗字)と畑の場所をラベルに書いて出荷することが多いので
「職人感」が増しているように思います。
また、「畑の場所」を表記することに「意味がある」くらい、地質によって味わいが異なります。

「会社・組織」が作るものであれば、品質が一定のものを求めてしまうけど
「職人」が作るものではれば、一点ものなので味に違いがでてくるのも仕方ない(むしろそれが楽しい)
というような捉え方で迎えられているように感じます。

当園は、市場でお茶を仕入れて・仕上げるような、決して大きなお茶屋さんではありません。
どちらかというと、市場にお茶を卸しつつ、自分達でも直販するという自園・自製・自販の茶園です。

だからこそ、自分達でご紹介するお茶は、ある一定の品質に保つのはもちろん
大量ではないけれど、ちょっとした「品種」「年」の違いを楽しんで頂けるような、
そんなお茶の魅力的なお茶にしたいと思っております。

ワインは約40年かかって、ヴィンテージの違いを楽しむ文化が日本にも定着しました。
さて、お茶は何年かかるかしら(笑)
10:55  |  お茶とワイン  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2016.12.26 (Mon)

「お茶もワインのように楽しめるようにしたい」について思うこと その1

「お茶もワインのように楽しめるようにしたい」
という言葉を、お茶愛好者や茶業に携わる方から
耳にすることが多いです

私個人として職業としてはワイン業の方が断然長く
生業のお茶に向き合い始めるきっかけを与えてくれたものでも
あるので異論はありません

では、どうすれば「ワインのように楽しめる」ようにできるのか?という話題になった時に、
嗜好品飲料としての楽しみ方や空間の提案に終始することが多いように感じます。

それは、純粋に「お茶を楽しむ」と言う観点では最も大事だと思います。

ただ、「ワインのような産業に育てる」という点では何か足りないことも確かです。

私は「ワインは世界的に最も成功している農産加工品」だと思います。

その要因の一つは「原産地呼称統制制度」の存在が大きいと考えます。

ワイン資格取得の勉強をする際に必ず行うことは

まず地図を広げ
産地の場所(しかも村や区画・畑ごと)
使ってよいブドウの品種
その産地で認定される色(赤・白・ロゼなど)
その産地で認定されている製法(熟成期間や)
格付け
地質
歴史
などを頭に叩き込みます。

つまり「この産地で、こういう製法をして作ったワインは、この名前を名乗れる」ということから学び始めます。

この概念は中世イタリアから存在し、現在の形を取り始めたのは20世紀以降
産地別の「個性」を「品質」として捉え、「制度」として見えるようになり
「一定の水準」に保たれるようになったと同時に
愛好家たちも、「語り易くなった」のではないかと思います。

翻って、日本茶を見てみると
産地の商標として「◎◎茶」という登録をされているものは多く見受けられるようになりました。
決められた産地で摘採した(もしくは仕上げた)お茶の葉を使って作ったお茶が
「◎◎茶」と表示されるようになりましたが
その「味わいの個性は?多様性は?」と言われると、なかなか難しい状況です。

なぜなら、今まで日本のお茶はあたかも「一つしか正解がない」かのように
ある頂点を目指して土づくりや製茶の技術を磨いてきたきらいがあるからです。

でも、「美味しいお茶ができる土壌」を目指して沢山肥料を与えて土壌改良したとしても
やはり温暖な平地で出来るお茶と、寒暖の差が激しくもともと岩場のような土地では
できるお茶の味が違って当たり前。
そもそものベースが違うのですから、同じ味を目指すには限界があります。

お茶が「大量生産・大量消費」では無くなった現代だからこそ
制度で、各産地の「個性」にお墨付きを与え
その土地にあった製法で、生産者が自信をもって
高い品質の茶を作れる仕組みが必要なのだと思います。

因みに、「原産地保護制度」のような制度が
2015年12月から日本の農産物全般に施行され
「八女の伝統本玉露」が唯一日本茶で認定されました。

これは、伝統本玉露を作る身としては嬉しいことですが
認定が一つだけでは、「個性・多様性を楽しむ文化」は醸成できません。
他の産地や煎茶など認定されたお茶が増えることを願うばかりです。
17:50  |  お茶とワイン  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2016.11.15 (Tue)

嗜好品飲料について考える

お茶の催事続きの11月
玉露・煎茶、紅茶、抹茶・・・と続き、
前半の締めくくりは
ボジョレーヌーヴォの解禁を目前に控えたワインのお仕事

お仕事上がりに頂いたのは、2013年のボジョレーヌーヴォ
古酒になったボジョレーを飲みながら実感したのは
合わせる料理次第で飲み物の感じ方が違う

経年による味わいの変化を、劣化と捉えるか、個性と捉えるか…
食べ物は何を合わせるか・・・
お茶も同じ

楽しみ方は本当に幅広いと思いました。

余談ですが、ここ半月で緑茶・紅茶・ワインなどの
トップクラスのテイスターさんと一緒にお仕事させて頂きました。
分野は違えど、「力がある飲料」を見分ける嗅覚は皆さん共通。
楽しかった!
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23:56  |  お茶とワイン  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

2016.09.03 (Sat)

ワイナリーを見学して圃場管理を思う

8月下旬恒例?の、国内のワイナリーへ研修に行ってまいりました。

この時期は、ちょうどワイン用ブドウの収穫直前なので、
成育したブドウを見ながら比較的ゆっくりお話を伺えます。

今年は、山梨のワイナリーを2軒。
ブドウ栽培・ワイン醸造へのこだわりはもちろん
今まで歩んできた歴史も伺え、大変興味深かったです。

心に残ったのは・・・
◎今までの「フツウ」を疑い、変なことをやる

中でも土壌の作り方と品種は、興味深かったです。

「日本の農家は圃場に雑草が無く美しいこと」を良しとする風潮がある中、
土壌の水分や微生物調整の観点で、「敢えて草を生やしてみる」

ワインにおいて世界品種として知られる「シャルドネ」を
土地の性質に合わないからといって抜根する
※お茶で言うと、ウーロン茶を作る為に、ある程度育てた「青心烏龍」を抜根して
ヤブキタを植える・・・みたいな感じです。

など。

100年後にはスタンダードになっているかもしれないし、
100年後には笑われているかもしれないけれどもやってみる
という、達観されて様子から「楽しんでいる」感じを受けました。

確かに、「木」や「果実」を扱う農業・林業は、長い目が大事ですものね。


その他のキーワードとしては、

◎良いものを「残す」
昔ながらの日本風の建物・日本古来の品種
「残す」をキーワードにすると、自分達の持っていた「良さ」と「残し方」が見えてくる

◎運び手と伝え手は違う
経営規模も踏まえ、大手流通ではなく「地酒屋さん」といった
きちんと「説明できる・想いを伝えて貰える」お店と契約する

など・・・



今回お邪魔した2軒は
歴史ある地元の名士さんが、なさっているワイナリー。

地域・産業・人の生活 にとても思い入れを持たれていると感じました。
だからこそ、「甲州のワイン」が地域を牽引する産業になれたのだなと思います。


そうそう、因みに当園の圃場も草が生えているものがあります。
決して仕事をしてないワケではございませんので、ご安心下さい(笑)
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18:45  |  お茶とワイン  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2015.09.28 (Mon)

ワインのブラインドテイスティングをして品種について考える

抜き打ちブラインドテイスティングをしました。

・・・と言っても赤ワイン1アイテムです。

そういえば、「品種を当てる」ことに主眼を置いて
テイスティングすることは久しぶり。

・・・結果、見事外しました。

口にしたのは、フランス、ロワールのアンジュ地方の赤ワイン。
この地域は、主に「カベルネフラン」という黒ブドウを用います。

そして、この「カベルネ・フラン」という品種
もっぱら「ピーマンのような青野菜のニュアンス」と表現され
テイスティングの試験でも、その特徴が際立ったワインが出されることが多いです。

で、今回出題されたワインは、ピーマンのニュアンスが無く、
熟れたプラムのような美しい酸とアフターにくるデラウェアのような軽やかな甘みが特徴。

生産履歴を聞くと、畑の作りはもちろん気を遣いつつ、
摘採時期を遅くしてブドウを良く熟れさせることや
樽の使い方で、ピーマンニュアンスを消しているそうです。

なるほどねーと思いつつ、お茶の品種も同じようなことが言えるなーと思いました。
品種の特性を活かす作り方もあるけれど、
その特徴が嫌味になりすぎる場合は、ワザと特性を抑えて、ちょっと工夫してみる。
お茶として、よりバランスがとれた作り方をすることもできるなーと。

まぁ、それはきっと「品種の特性を活かす作り方」が出来た上で調整できると思うので、
まずは、品種に忠実に作れるよう極めないといけなんでしょうけど(笑)

そんなことを、徒然と考えてしまったブラインドテイスティングでした。

因みに、私はカベルネフランという品種のワインはあまり得意ではなかったのですが
このワインを口にして好きになりました。ありがとうございました。
10:03  |  お茶とワイン  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
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